BasicTeX 2017 のインストール @HighSierra

macOS を HighSierra にアップグレードしたらヒラギノを埋め込めなくなってしまったのでクリーンインストールしたという自分用メモ。
HighSierra へのアップグレードによるフォントの埋め込みの問題についてだけでしたら、一番最後の「ヒラギノフォントを扱えるようにする」を見ていただければと思います。

目次:

macTeX か BasicTeX か

GUI アプリケーションを使いたいなら macTeX ですが、そうでなければ BasicTeX で事足ります。Basic でも日本語がうまく使えるのか心配でしたが、BasicTeX - TeX Wiki によればうまく行くみたいなので これにしたがって Basic でインストールしていきます。
(次節の手順は奥村先生のページに同じです)

Homebrew で BasicTeX をインストール

まずは Homebrew — macOS 用パッケージマネージャー で basictex をインストールします。

$ brew cask install basictex

そのあと、Homebrew に gnupg (gpgとも) がインストールされているかどうか確認してください。brew search コマンドで調べてみてインストールされていなければ、インストールするのがよいでしょう。どうやら、tlmgrコマンドを実行したときに必要になるようです。参考: tlmgr で gnupg not available - memo.xight.org

ちなみに、このtlmgr( tlmgr - TeX Wiki ) というのは TeX Live 用のパッケージ管理ツールです。覚えにくい綴りですね。まあ、TeX Live Manager の子音を持ってきただけの名前と思えば納得ですが。
参考: http://www.tug.org/texlive/doc/tlmgr#NAME

$ brew search gpg
$ brew install gpg

あとは tlmgrコマンドで 必要な TeX のパッケージをインストールしていきます。以前に macTeX を使っていたときは 700 個くらいのパッケージをダウンロード (当然、かなり時間がかかりますね) していたのに basic は たったの 53 個で感動しています。

$ sudo tlmgr update --self --all

規定の出力用紙サイズを A4 に設定します。

$ sudo tlmgr paper a4

BasicTeX - TeX Wiki にもあるように

確かに 2015 以前では ptex をインストールすれば platex も使えるようになっていたのですが, 2016 以降では platexplatex パッケージに分離されました。 このため,ptex をインストールしただけでは platex が使えるようにはなりません。

日本語環境を構成するには,このページで解説しているように collection-langjapanese を インストールすることをおすすめします。

とのことなので、これから最新版をインストールしようとしているなら collection-langjapanese を使うのがよいみたいですね。

$ sudo tlmgr install collection-langjapanese

これで日本語環境は一通り揃いました。

必要なパッケージを tlmgr で個別にインストール

残りは、今まで PDF に組版できていたものを試しに動かしてみて、足りないパッケージがあれば手動でインストールしていきます。バックアップもあるにはあったんですが、何が本当に必要なのか知りたかったのでめんどくさいですが手動でやってみました。
tlmgr コマンド自体の使い方は、次節「tlmgr の使い方」を参照。

  • tlmgr でインストールされたパッケージ一覧をログファイルから確認
    ログファイルは、/usr/local/texlive/2017basic/texmf-var/web2c/tlmgr.log にあるはずです。

  • 個人的にとりあえず必要だったパッケージ一覧
    個々に見ていくとスペースを取りそうなのでログファイルの一部をコピペするだけにとどめます。それぞれの説明も別記事にできたらいいのですが。

[Tue Nov 28 15:47:35 2017] install: mdframed
[Tue Nov 28 16:08:40 2017] install: bussproofs
[Tue Nov 28 16:17:46 2017] install: needspace
[Tue Nov 28 16:58:12 2017] install: mathpazo
[Tue Nov 28 16:59:10 2017] install: fpl
[Tue Nov 28 16:59:56 2017] install: palatino
[Tue Nov 28 17:20:09 2017] install: courier
[Fri Dec  1 23:15:03 2017] install: flagderiv
[Mon Dec  4 15:57:18 2017] install: bxdpx-beamer

tlmgr の使い方

tlmgr の使い方はかなり簡単です。

公式ドキュメントに詳しく書いてあります→ http://www.tug.org/texlive/doc/tlmgr.html

  • tlmgr info [パッケージ名]:パッケージの情報を得られます。インストールされているかどうかもわかります。
    試しに mdframed の情報を見てみます。(mdframedは描画ツール TikZ に必要なパッケージです。)
    未インストールなのがわかります。
$ tlmgr info mdframed
package:     mdframed
category:    Package
shortdesc:   Framed environments that can split at page boundaries
longdesc:    The package develops the facilities of framed in providing breakable framed and coloured boxes. The user may instruct the package to perform its operations using default LaTeX commands, PStricks or TikZ.
installed:   No
sizes:       src: 285k, doc: 1881k, run: 217k
relocatable: Yes
cat-version: 1.9b
cat-date:    2016-06-24 19:18:15 +0200
cat-license: lppl
cat-topics:  boxing box-breaking decoration
cat-related: framed
collection:  collection-latexextra
  • tlmgr install [パッケージ名]:パッケージのインストール。
    実際に実行するときは sudo をつけないと動かないはず。
$ sudo tlmgr install mdframed
  • tlmgr updatetlmgrのアップデート。
    • --self オプション:tlmgr コマンド自体のアップデートを行います。
    • --all オプション:tlmgr で管理しているパッケージ全てのアップデートを行います。大抵、かなり時間がかかるので暇な時にやるのがよいです。

ヒラギノフォントを扱えるようにする

以下のサイトの手順を踏んでうまくいきました。

私の場合は BasicTeX を入れたので、上のページ内のjfontmaps/Makefileの1行目TEXMFに相当する部分はTEXMF = /usr/local/texlive/2017basic/texmf-localでした。

また、上のサイトの元になっている github リポジトリは以下。

TeXとフォント - TeX Wiki や、 TeX Live/Mac - TeX Wiki にもあるように、

$ sudo kanji-config-updmap-sys status

とすることで現在のフォント埋め込み設定を見ることができます。現在の様子は以下。HighSierra用のヒラギノに設定されています。

$ sudo kanji-config-updmap-sys status
updmap [WARNING]: resetting $HOME value (was (略)) to root's actual home (/var/root).
CURRENT family for ja: hiragino-highsierra-pron
Standby family : ipa
Standby family : ipaex
Standby family : ms-osx